日本語訳「オルモックのフィリピン・デュシェーン」

2018-07-16

Philippine Duchesne in Ormoc

 

Philippine Duchesne in Ormoc
日本語訳「オルモックのフィリピン・デュシェーン」

1991年、フィリピンのオルモックで鉄砲水が約8,000の命を奪いました。山の森林伐採と放埓な環境破壊によるものでした。聖心会はこの悲惨な状況に応えたいと考え、家屋と近親者を失った家族の元に私が使わされ、生活再建の手伝いをすることとなりました。被災者は主にサトウキビ畑で搾取されてきた労働者です。当初からフィリピン・デュシェーンは私にとって、沈黙のうちの導き手であり、養い手でした。このミッションのフロンティアはフィリピンの心に添うものと感じておりました。

世界中の聖心会管区から即座に金銭的援助が差し伸べられ、その結果、各家族で分けるよう1ヘクタールの土地を手に入れることができました。彼らは人生で初めて自分の家と呼べるものを持つことができたのです。質素で苦労の多い生活が続きますが、フィリピンの次の言葉に日々の糧に対する希望を見出しました。「神様は私達に何が必要かご存知です。私達がほしいものをご存知で、神様にとってよき時に私達に与えてくださいます。」

子どもの教育の場を中心に共同体が徐々に形作られて行きました。子供たちはフィリピンから受け継いだ愛にあふれたケアを享受できました。新生活を共に始めることを通して、共同体全体が平和と安定のうちに神の君臨をささやかに経験し、また、子どもたちのために明るい未来を描くことができたのです。

オルモックとかかわって26年、人々が十分に力をつけ、フィリピンのミッションが続けられることを確信して、聖心会は「聖フィリピン・デュシェーンオルモック労働者財団」(SPDOWFI)の経営から手を引くことになりした。ここを去るに当たって、次のフィリピンの言葉が、私の心に刻まれています。「私達はキリストのために小さな小さな畑を耕しましたが、それを心から愛しています。神様は大きな成果をお望みにならず、自分のために何も残さない心をお求めになっていることを知っているからです。イエズスを所有する者は、すべてを所有します。」

作:イライダ・スーアン RSCJ フィリピン地区
画:聖ローズ・フィリピン生産者協同組合ロゴ(St. Rose Philippine Producers’ Cooperative Logo) 共同体がフィリピンと共に新しい辺境の地に向けて航海する様子を表している
訳:新井協子

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