Philippine at a crossroad 日本語訳「十字路におけるフィリピン」

2018-03-12

Philippine at a crossroad

 

十字路におけるフィリピン

 フィリピン・デュシェーンという人物を語る上で欠かせないことは、彼女が並ならぬ不屈の精神を持った女性であったことでしょう。神への完全な信頼のうちに勇敢で毅然とした行動で彼女は、数多の困難を乗り越えたことで知られています。

 フィリピンの持つこの不屈の精神は、彼女が12歳で召命を感じ、そして聖母訪問会のノビスの時に心に強く影響を受けた聖フランシスコ・ザビエルへの崇敬、その後、聖マグダレナ・ソフィアとの出会いと深い親交を通して聖心会に入り、従順の掟を守りつつ、49歳という年齢まで、聖旨の時を待ち続けたことに顕著に見ることができるでしょう。

 フィリピンの精神の強さは、すでに彼女が生まれた時から持っていたもののようです。デュシェーン家には、代々伝わっている「デュシェーン気質」という、強固な意思と優れた知性の血が流れていましたが同時に彼女の心を激しく燃やした大きな神からのメッセージがそこにはあったに違いありま せん。

 フィリピンは、確かに情熱の人ではありました。しかし、決して彼女ひとりの力だけではその大きな目標に達することは出来なかったのではないでしょうか。フィリピンが目指していた大きな目標を達成するのに必要だったのは、神の御摂理でした。

 フィリピンが日々、自ら出来ること、為すべきことを真摯に果たしている中で、ある時、自分の全く予期せぬ時に思わぬ形で光が見えたのです。それは、1817年1月14日のことでした。フィリピンは、その日、パリのマザーハウスの受付係をしていました。この日、デュ・ブール司教がマグダレナ・ ソフィアを訪ねて来られたのです。司教は、アメリカのルイジアナ州とフロリダ州の担当者で今後の布教、宣教のためにフランスから何人かの修道女の派遣を依頼しに来られたのでした。フィリピンは、長年海外宣教に行きたいという大きな希望を抱いていましたので、この訪問を直感で待ちに待ったその時が来たのだと思いました。そして、決してこの機を逃すまいと即刻自らの意思をマグダレナ・ソフィアに伝えました。マグダレナ・ソフィアは、熟慮の末、聖心会修道女のアメリカへの派遣を決断したのでした。それは1817年5月16日、派遣の命を受けたフィリピンは、望外の喜びに満たされました。

 人間の崇高な望みを神は、思わぬ時に成就してくださるのです。 今も昔も、私たち人間が生きていく中で神の意思と人間の望みが出会う十字路があるのです。ですから、私たちはこの神の印が表されるその時を見逃すことがないように、いつも心の目を大きく見開いているようにしたいものです。

作者/画像:テレサ・ゴマRSCJ  スペイン管区
訳:崎川由美子

 

English  |  Español  |  Français